新型コロナウイルス感染拡大で自粛生活が始まり、家庭での虐待が増えているのではないかと危惧の声が聞こえてきます。
私は市会議員になって9年間で『発達障害』について調査研究しております。横浜市の発達障害に関する事業はほとんど視察に行っており現場を見て来ております。
今回は、平成30年秋に視察に行きました、
『横浜市の里親制度』についてお話しをさせて頂きます。
横浜市には、里親といっても二つの制度があります。その中の『ファミリーサポート』について視察をして来た時の事なのですが、通常の里親は4人のお子さんを養育する事が出来るのですが、『ファミリーサポート』は6人まで養育する事が出来ます。
栄区でファミリーサポートを行なっている方がいらっしゃるとの事で視察に行くのですが、6人の子供達を養育するのですから、
「どんなに大きなウチ(豪邸)にすんでいるのだろう?」と、想像していました。ところが、想像とは逆の普通の団地でした。先ずは、そこにビックリ。ご自宅にお伺いしましたら、私の想像では、子育てが終わった年配の方だと思っていましたから、私(当時48歳)よりも2.3歳程お若いお母さんが登場したのには更にビックリ。
そうなると、「なぜ、里親を始めたのか?」が気になります。その質問をすると、ご自身のお子さんが小学校の高学年と低学年になった頃に下に女の子が欲しくなったそうです。もう、ご自身で産む気はなく、イギリス人のご主人に相談し里親になる事を決断。そこで小学生の息子さん二人に相談すると快諾してくれたそうでした。
横浜市から里親の連絡が入るのですが、女の子姉妹を保護しているのですが、その二人を引き離すのが可哀想との相談があったそうです。そこで、彼女は息子達にその事を伝えました。すると「え!!!俺たちに一人ずつ妹がくるの❣️」と大変に喜んでくれたそうで、それが里親の始まりだったそうです。その話しを聞いているウチに、周りには担当の横浜市の職員はいるのですが、もう私の目からはポロポロと涙がこぼれてきます。
その里親生活が楽しいので、しばらくしてからは息子達と同い年の男の子兄弟を迎え入れたそうです。
実子はもう既に育って自宅にはおりませんでしたが、この約20年間で28人のお子さんを預かったそうです。私が視察に伺った平成30年の秋当時は女の子が6人おりました。私が視察に来る為に、みんなで大掃除をし、ご褒美に焼肉を食べに行ったそうです。と、とても明るいマミー(子供達からの愛称)です。ちなみに、住まいは大家さんの計らいで団地の3部屋の壁をくり抜いており、中で行き来が出来る様になっていました。もちろんですが、ご夫婦の寝室もみんなと一緒ですから、夫婦喧嘩も子供達が見ているそうです。喧嘩していると、子供から「マーミー、なんで離婚しないの?あんなダーディーと早く別れた方が良いよ」と、アドバイスされるそうです。虐待等を受けたり、児童相談所からきている子供達ですから、夫婦喧嘩=離婚と思っていて、離婚しないご夫婦が不思議の様です。夫婦喧嘩の次の日にはダーディーがマーミーへのご機嫌取りでコーヒーを入れるところも子供達はじぃ〜と見ているそうです。夫婦喧嘩も教育の一つなのかなぁ〜と感じ、更に涙がこぼれてきます。
子供達は高校生になると全員にバイトをさせるそうです。毎月のお小遣いは3千円と決まっており、一日で全て使う子もいるそうですが、その後の29日間は我慢をさせるそうです。その高校3年間のバイト代は全て貯金をさせて、卒業時には一人150万円〜200万円貯まるそうです。一人暮らしの子には独立する時の資金。大学へ行く子は奨学金を受けたりするそうですが、学業の為に使うそうです。もう、ここまで話しを聞くと泣きすぎて、鼻水まで溢れてきます。
独立すると言っても、18歳ですから、まだまだ子供です。ある子は、この団地の上に住んでいて、晩ご飯になるとベランダの非常用階段で降りて来るそうです。また、ある子は、もう少し自信がつくまでは、と、下のフロアーに住んでいるそうです。18歳を過ぎると横浜市の制度は受ける事が出来ませんので、その食事代等は実費で貰っているそうです。
このマミーはずっ〜と小学校のPTA会長をしており、中学校へはお弁当を作って持たせているそうです。子供達から見ると周りのお母さんがビジネルスーツで働いているのがカッコ良く見えるらしく「マミー、どうしてマミーは他のお母さんみたいに働きに行かないの?」と、話しをしてくるそうです。
また、毎年必ず北海道や沖縄など家族旅行に行くそうです。その理由は、子供達に不憫な想いをさせたくなく、必ずクラスの子供達へはお菓子等のお土産を持たせるとの事で。もう聞けば、聞く程に感動の嵐です。
ここにくるお子さんには、実は発達障害を持つ子が多く、お子さんについて選択はせずに受け入れているそうです。そして、ほとんど全てのお子さんの産みのお母さんとマミーはLINEで繋がっており、子供達の様子を送っているそうです。
そして、子供達には「あなた方の親御さんは、離婚や、再婚など何か事情があってあなた達と暮らせないが、親御さんもいつかは年を取るから、いつかは面倒をみるんだよ!」と話しをしているとの事で、その日を目標にして頑張っている子もいるそうです。
もう、涙がとまりませんでした。
視察の最後に、議員として視察に行きましたから、
「せっかくお忙しい中をお時間を割いて頂きました。何か横浜市に対して不満はありませんか?」と、目の前にいる行政側には耳の痛い質問をしましたら、一つだけで要望があるとの事。
大家族ですから、トイレの使用回数が多くなり、また、時々暴れたりして壁に穴があいたりとあるらしいのですが、市の予算は単年度会計になっており、家の修理、補修代を貯める事が出来ずに困っている、との事。
この件に関しては、平成30年10月18日の横浜市会のこども青少年局の決算特別委員会(7分頃)で発言しており、改善されました。
この様な素敵なご夫婦がいらっしゃる事、この様な制度を事業化している横浜市って、素敵、凄いと思いませんか。
行政は良い事業をしていても、なかなか評価をされる事がありませんので、私は議員活動を通して、良い事業についてはしっかりと評価もしたいと考えております。
http://gikaichukei.city.yokohama.lg.jp/…


